幻の光 / 江角マキコ [映画レビュー]
「ショムニ」特集(?)のシメはやはりこの人、坪井千夏こと江角マキコということで。
「誰も知らない('04)」の是枝裕和の初監督作品。丁寧なロケハン、丁寧なカット割り、丁寧な演出で宮本輝の原作を見事に映像化している。
江角マキコの裸が出てくるのは1シーンだけ。夏、再婚の夫である内藤剛志との情事の後(性交のシーンは出てこない)、パンティ1枚で内藤にもたれかかる彼女に、暑いし重いからそろそろどいてくれ、と彼が言う。すると彼女は「済んだら急に重(おも)なるんか?」と言いながら彼の上にまたがる。この台詞がなんとも艶かしくて良い。
乾いた砂に水を撒いたように、心に沁みる佳作。陳明章の音楽も秀逸。いつまでもこういう映画が商業的に成り立つ日本映画界であってほしいと、切に願う。
幻の光
1995年 シネカノン=テレビマンユニオン
監督:是枝裕和
原作:宮本輝
脚色:荻田芳久
撮影:中堀正夫
音楽:陳明章
出演:江角マキコ、内藤剛志、浅野忠信、木内みどり、柄本明
これ、是枝監督だったんですね。
原作がとっても好きな本だったので、当時は未だ「モデル」という印象の
江角さんが主役をするのが正直嫌だった記憶があります。
でも江角さんが映画を撮り終えた後、原作者の宮本輝氏と対談していて「現場にいくのがとても楽しかった」と言っていました。
「自分は父親を医療事故でなくしているので、急に理由もわからず死んでしまった夫に問いかけ続ける主人公の気持ちがわかる」と話してました。
by Sho (2006-07-01 04:42)
Shoさん、こんにちは。
僕も「関西弁下手だし、台詞も棒読みだし、何で江角マキコなのかなあ」って思っていたのですが、多分是枝監督は芝居の良し悪しよりも映像としての彼女を優先したのではないかと想像します。実際長回しの映像に彼女のたたずまいはとても合っているし、すごく「絵になっている」と思います。
by wkkii (2006-07-02 19:07)